宇宙服なしで宇宙に出るとどうなるの?

コハク
コハク宇宙服は、ただの丈夫な服ではありませんの。宇宙という危険から体を守る、いわば命のとりでですわ。
30秒でわかる答え
コハクNASAは50年以上にわたって、宇宙で人の体に起きることを調べてきましたの。

体が破裂したり、血が沸騰したり、一瞬で凍ったりはしません。いちばん危ないのは酸素がなくなることで、NASAの記録では、ほぼ真空にさらされた人は約14秒で気を失いました。そのまま1〜2分ほどたつと、命にかかわると考えられています。

国際宇宙ステーションから見た星の光跡
宇宙空間から見た星々の光跡。宇宙飛行士は、このような宇宙環境から体を守る宇宙服を着て活動します。写真:NASA/Don Pettit / Public domain / ウィキメディア・コモンズ

最初の10秒ほど:まだ意識はある

宇宙は空気がほとんどない「真空」です。宇宙服なしで外に出ても、すぐに気を失うわけではありません。最初の10秒ほどは、まだ意識があります。ただし、10秒ほどたつと、皮膚とその下が少しふくらみ始めます。これは軽く、痛みはなく、空気のある所に戻れば元にもどるものです。また、太陽の光をさえぎる物がないので、紫外線でひどい日焼けをします。

約14秒:酸素がなくなり気を失う

1965年、NASAの試験中に宇宙服から空気がもれ、ほぼ真空の部屋にさらされた人がいました。この人が意識を保てたのは約14秒です。気を失った理由は、血の中の酸素がなくなったことでした。部屋にすぐ空気がもどされ、この人は意識を取りもどしています。

図:宇宙服なしで真空にさらされたら(時間の流れ)
何秒で何が起きる?はじめまだ意識がある10秒ほど皮膚が少しふくらむ紫外線でひどい日焼け約14秒酸素がなくなり気を失う30秒ほど息を止めなければあとに残るけがになりにくい1〜2分命にかかわる(正確な限界は不明)

NASA Goddard の解説と、1965年のNASAの試験中の事故の記録より。

コハク
コハク危険は「RIDGE」の5つ。宇宙放射線、孤立と閉じこもり、地球からの距離、重力のちがい、敵対的・閉鎖的な環境ですのよ。

よくある3つの誤解

映画では、体が破裂したり一瞬で凍ったりすることがありますが、実際にはちがいます。皮膚と血管が体をしっかり包んでいるので、体は破裂しません。血管の中は圧力が保たれるので、血液も沸騰しません。泡立つことがあるのは、舌の上の唾液のような、外に出ている水分です。また、真空では熱が伝わりにくいので、体はすぐには冷えません。

1〜2分で命にかかわる理由と宇宙服の役目

息を止めようとしなければ、30秒ほどなら、あとに残るけがにはなりにくいとNASAは説明しています。反対に、息を止めると、肺の中の空気がふくらんで肺をいためることがあります。酸素がない状態が1〜2分ほど続くと、命にかかわると考えられていますが、正確な限界は分かっていません。宇宙服は、空気と圧力をたもち、放射線や熱から体を守るための、宇宙飛行士の命づなです。

もっと知りたい

  • 1965年にはNASAの報告で、チンパンジーをごく短い時間だけ真空に近い状態にした実験も行われ、すぐには大けがにならないことが確かめられました。
  • NASAは宇宙に長く滞在するときの危険を、宇宙放射線や重力のちがいなど5つにまとめ、頭文字から「RIDGE(リッジ)」と呼んでいます。
  • 地球では、磁場と大気が宇宙放射線の粒子の大部分をさえぎっていますが、宇宙ではこの守りがありません。
コハク
コハク宇宙服なしで外に出るということは、そうした危険に体を直接さらすこと。だからこそ宇宙服は大切に作られているのですわ。

3択クイズで確かめよう

NASAが宇宙滞在の危険をまとめた5項目をあらわす言葉はどれ?

答えを見る
  1. RIDGE
  2. SPACE
  3. SAFE

RIDGE NASAは、宇宙放射線・孤立と閉じこもり・地球からの距離・重力のちがい・敵対的・閉鎖的な環境を、5つの頭文字「RIDGE」でまとめています。

参考資料

  1. How would the unprotected human body react to the vacuum of outer space? (Ask an Astrophysicist)NASA Goddard Space Flight Center(英語)
  2. The Human Body in SpaceNASA(英語)
  3. SpacesuitsNASA(英語)

内容は 2026-10-03 時点で上の資料を確認して書いています。研究が進んで説明が変わることもあります。写真のクレジットは各写真の下にあります。