クリケット選手はなぜボールをズボンでこするの?

コハク
コハククリケットの選手が、ボールをズボンにこすりつけるのを見たことはありますか? あの動きには意味があるのですわ。
30秒でわかる答え
コハクルールとあわせて、順番にお伝えしますね。

ボールの片側をつるつるに保つと、飛んでいる間の空気の流れに差が生まれ、ボールが曲がりやすくなると説明されています。ズボンでこするのは、汗だけを使う、規則で認められた磨き方です。つばを使うことは禁止されています。

地面の上にある、表面に傷やよごれがついた使い込まれた赤いクリケットのボール
使い込まれたボール。ボールの表面の状態は、飛び方に関わります。写真:Acabashi / CC BY-SA 4.0 / ウィキメディア・コモンズ

ボールの片側を磨く理由

守るチームの選手が、ボールをズボンに何度もこすりつける姿を見たことがあるかもしれません。これはボールを磨いて、片側をつるつるにするためです。NASAの科学者で、クリケットのボールの空気の流れを研究してきたラビンドラ・メータ氏は、ESPNcricinfoで、ボールをうまく曲げるには、打者のほうを向く側をできるだけなめらかに保つことが大切で、磨く昔ながらの習慣には科学的な意味があると説明しています。

つるつるとざらざらの差

飛んでいるボールの表面には、薄い空気の層ができます。なめらかな側の空気の層は早くボールから離れ、縫い目で乱された側の層は、ボールにくっついたままの距離が長くなります。この差が、ボールを横へ曲げる力を生みます。メータ氏によると、曲げやすいのは、片側がとてもなめらかで、反対側がざらざらのボールです。新品のラッカーがはがれると、革の天然の油が出て、磨きやすくなるそうです。

汗で磨くのはルール内

磨き方にはルールがあります。ICCのテストマッチの規則では、守る選手は自分の服でボールを磨いてよいものの、人工の物質は使えず、使ってよい自然の物質は汗だけで、時間をむだにしてもいけません。ズボンでこするのは、この範囲の磨き方です。

図:ボールを磨く時のルール
汗でこするズボンなどで磨く認められているつばをつける相手に5点が入るボールも取りかえ人工の物質を使うボールを磨くのに使えない

ICCのテストマッチの規則による。

コハク
コハク磨いてよいのは、汗だけと決まっているのですね。

つばは使えなくなった

つばを使う選手もいたため、新型コロナウイルスの感染を防ぐ目的で、2020年7月に試合が再開された時から、つばを使うことは禁止されました。その間、選手は汗で磨いていて、それが効果的だったとICCは説明しています。インドの元主将サウラヴ・ガングリー氏が率いるICCの委員会が提案し、この禁止は2022年10月1日から正式な決まりになりました。今の規則では、審判がつばがつけられたと判断すると、相手チームに5点が入り、ボールも取りかえられます。

もっと知りたい

  • つばの禁止には、甘いあめやガムでつばを甘くする、あいまいな部分をなくすねらいもあったと、MCCは説明しています。
  • 審判が、ボールの状態が不公正に変えられたと認めた時は、ボールが取りかえられ、相手チームに5点が与えられます。
  • メータ氏によると、守る選手たちは、ざらざらにした側を、手でさわらないように気をつけています。
コハク
コハクズボンでこするのは、ボールを曲げやすくするための、ルールの範囲内の工夫ですわ。

3択クイズで確かめよう

ボールをこする大きな理由は?

答えを見る
  1. 片側をつるつるにするため
  2. ボールを温めて飛ばすため
  3. ボールを重くするため

片側をつるつるにするため ボールの片側をつるつるに保つと、飛んでいる間の空気の流れに差が生まれ、ボールが曲がりやすくなると説明されています。

参考資料

  1. The truth about conventional, reverse and contrast swing (Rabindra Mehta)ESPNcricinfo(英語)
  2. ICC Men's Test Match Playing Conditions (effective from October 2026)International Cricket Council (ICC)(英語)
  3. ICC makes changes to Playing Conditions (19 September 2022)International Cricket Council (ICC)(英語)
  4. MCC World Cricket committee statements (22 February 2021)Marylebone Cricket Club (MCC)(英語)

内容は 2026-10-03 時点で上の資料を確認して書いています。研究が進んで説明が変わることもあります。写真のクレジットは各写真の下にあります。